建物全体を断熱材で丸ごとくるみ、さらにパッシブ設計を実現することで住環境を充実。リフォームでは後まわしにされがちな性能設計をしっかり行い、数値で結果を出す誠実さが高い評価を得た。間取りにおいては、古い日本家屋によく見られる南入りの中央玄関というパターンをワンルームにまとめ直し、開口部から外へのつながりを作ったことで、空間の広がりと魅力が向上。都市部でも自然が感じられる住まいに仕上がっている。
二世帯同居のための建主ご実家の改修工事で、2階を子世帯住居のLDK+水まわりとする計画。南側に市街地を見下ろす好立地を生かし、巧みな開口部の配置で景色を室内に最大限に取り入れている。そのうえで開口部にも断熱改修を行い、住宅の性能を向上させている点も高評価。重量鉄骨の骨組みを生かしたボリュームのある空間には、南北に通風が確保されており、風が吹き抜ける心地よい住まいがイメージできる。
総評
既存住宅を地域に開くために、大開口のある土間空間を実現したリフォーム例。土間空間ではワークショップや地域住民も訪れるカフェ開くなど、地域のコミュニティづくりに活用されており、地元の復興につながることが期待できる。昔ながらの住まいによく見られる田の字型プランを崩さず、うまく残しながら住み心地よくリフォームしている点も好印象。古民家ならではの構造美や経年美を生かしたプランとなっている。