省エネに配慮したZEH仕様の家。住宅地の中でプライバシーを大切にしながら、開放的に設計している点が好印象。南側に設けた中庭の壁は、外の視線を遮りながら、やわらかく反射する太陽光を室内に取り込む役割も果たす。冬は日ざしがたっぷりと光が入って暖かく、夏は南側に設けた庇によって光を遮り、過度な温度上昇を防ぐ工夫も。採光、通風、開放感を設計力で叶えた次世代のモデルともいえる。
冷暖房計画とパッシブ設計を融合させ、快適な室内環境を作り出した作品。建主の実家である母屋との間に設けた東側の中庭は祖父母と孫の遊び場になり、夏には涼しい空気を取り入れる場所にもなる。地窓から取り入れた冷気は、階段のある風洞を通って2階天井の排熱窓へ。各部屋は完全に仕切らず、欄間を設けて建物全体に風が通り抜けるようにするなど、独創性の高い設計力が光る住宅である。
ステップフロアと吹き抜けを生かした伸びやかな設計で、光熱費ゼロを達成。スーパーウォール工法のメリットを最大限に生かし、夏も冬もエアコン一台で対応できるように各フロアのつながりを重視している。ダイニングから1段高い位置に設けられたリビング下には約8畳の下部収納、造りつけのスタディスペースを設けるなど省エネと暮らしやすさを両立させた秀逸な作品である。
自然豊かな周囲の景観に馴染む、落ち着いたやさしい外観の家。一方で室内は明るく開放的であり、双方のギャップが印象的である。「冬暖かく、夏涼しい家に住みたい」という建主の希望をかなえるため、スーパーウォール工法やトリプルガラスを採用してゼロ・エネルギーを実現。遮音性も向上し、ピアノの練習が気兼ねなくできるなど多くのメリットが住み手を喜ばせるプランである。
総評
スーパーウォール工法ならではの高い性能をうまく生かし、伸びやかで広い空間を作り出した家。八ケ岳を見渡せる自然豊かなロケーションを生かし、日射や風の流れを考慮しながら窓の大きさ、設置場所を検討。家の中のどこにいても気持ちよく過ごせるよう、随所に工夫が凝らされている。寒さ対策として庇や太陽光パネル、高断熱サッシを採用するなど、省エネに対しても細やかに配慮されている。