伝統的な「和」の住まいに「洋」のエッセンスをプラス。寝室のすぐ横にガラス張りのバスルームを設置するなど、古民家に西洋的なスペースを組み込んでいるが、いやみなくまとまっている点も好感度が高い。自然素材を多用したインテリアや、プライベートとパブリックを巧みに切り分けた空間構成など、施主のこだわりが感じられ、設計者も丁寧な設計や図面、プレゼンテーションでそのこだわりに応えている。
リフォーム前のポテンシャルはそのまま生かしつつ、現代生活にもなじむ快適な空間に改修。数ある古民家リフォームの中でも、既存の建物への敬意が感じられる点が、高い評価につながった。坪庭と居室との関係性も良好で、美しい光と四季の変化を住まいにもたらしている。おもてなしのスペースとして設けられた玄関まわりも美しく、外装の木質の色合いが時を経て美しく変化するのも楽しみである。
総評
施主の暮らしに沿って、無理なく素直に空間をまとめた好例。既存天井はそのままスケルトンで残し、むき出しになった梁は壁と同じく白ですっきりまとめることで、好感の持てるインテリアになった。物干しスペースとして設けられたインナーバルコニーは、建具1枚で目隠しされており、「美しく、快適に住みたい」という施主の思いと設計者の感性が共存している。暮らしやすさを実感できるリフォームプランである。