古民家の改修では、元の建物が持つよさを損なうケースもまま見られるが、築150年という建物のポテンシャルを保ちつつ、現代の生活に合ったプランに改修させた好例。和の要素を備えた外観や内装も美しく、建物への愛情が感じられる。古びた梁や建具を生かした、和モダンのインテリアも印象的。建物の性能アップや、バリアフリー化も実現させており、長く、次世代にまで住み続けてほしい住まいとなっている。
東日本大震災で崩れてしまったという瓦屋根を改修しつつ、使い勝手の悪かった間取りプランも一新。外観は既存のデザインを踏襲することで、古民家の魅力を今の暮らしに生かしている。細かく仕切られていた既存の間取りは、高い天井のあるLDKと、心地よい個室に改修。設備の刷新やジャッキアップによる基礎部分の補強、耐震補強を万全に行うことで、住まいの性能も上がり、長く、安心して暮らせる住まいとなった。
介護が必要なご両親との同居を機に、マンションを全面改修。ご両親のベッドスペースをリビング内に設け、腰高の壁だけで仕切った大胆な間取りだが、常に様子を見守ることができるため、介護する側も、される側も安心して暮らせる住まいとなった。広い洗面脱衣室や玄関ホールなど、介護を容易にするためのやさしい配慮に満ちたプラン。今後、介護が必要となる世帯にとって、参考にしたい改修例である。
古く、性能も低かったマンションをスケルトンにした後フルリノベーション。キッチンからリビングまでひと続きになったオープンな空間は、住む人のライフスタイルを反映させた住まいとなっている。光がふんだんにさし込む窓辺にはハンモックが吊るされており、ここで過ごす楽しいひと時が想像できるスペースに。水まわりは大胆に移動させており、回遊性のあるプランと、風が通り抜ける快適な空間を実現した。
築45年の住まいを、住む人の個性に合わせてリノベーション。古民家やマンションの改修例が目立つ中、こうした「普通の」家のリノベーション需要が確実に存在していることを実感させ、改修後のプランも新鮮に映った。外観もリフレッシュされており、天井を高くとったリビングは心地よい空間に。目立たない部分である耐震補強や断熱工事も丁寧に行われており、建主にとって快適かつ安心感のある住まいになった。
人生の節目に合わせたマンションのリノベーション例。建主であるご夫婦が迎えるであろう新生活を想定したプランには、快適に暮らすための配慮が随所に光る。ガラスブロックに囲まれた書斎スペースは、コンパクトなスペースではあるが明るく、リビングで過ごす人との程よい距離感が心地よい。カウンターキッチンは吊り戸棚をつけず、オープンに仕上げたことで、ダイニングやリビングにいる人との会話がはずむ空間となった。
「室内が暗い」「耐震性が低い」といった古民家特有の課題を、思い切りのよい開口部の設置や、基礎の補強工事によって改善。明るいリビングやトップライトのある居室、床暖房の設置などで住まいの性能を向上させ、現代のライフスタイルに合わせた住まいを完成させた。通り土間のある玄関や、LDKの中の畳コーナーなど、和の要素もうまく取り入れてあり、元の建物への敬意が感じられる点も好印象で、高い評価につながった。
住宅リフォームでは「手を入れる部分」と「残すところ」のバランスが課題となるが、このバランスをうまく取りつつ、美しく仕上げた好例。にぎやかな家族の団らん風景が想像できる、風通しのよい住まいとなっている。建主のライフスタイルに合わせた収納プランについて十分に配慮されており、キッチンまわりは使い勝手のよい印象。いい意味での生活感にあふれており、新生活への高揚感が感じられる。
築120年の古民家は傷みも激しく、改修時の困難が想像できるが、建物としっかり向き合った結果、隅々まで配慮の行き届いた住まいとなった。美しく蘇った外観は、既存の建物の表情を生かしつつ、二重の玄関扉などで新たな機能と表情をプラス。足を一歩踏み入れると広い玄関土間が広がり、「新」と「旧」の融合を感じさせる。室内は既存の梁組みに囲炉裏や坪庭を組み合わせたことで、快適な空間に仕上がっている。
ひとり暮らしの建主のために、1階で生活が完結できるプランを提案。寝室から収納、ウォークインクローゼットまでの流れと、リビングからダイニング、キッチンまでの流れが整えられており、プライベートとパブリック、それぞれの時間で使いやすい動線が考えられている点が、高評価につながった。ガラス入りの建具を多用した室内は、光と風が通り抜ける空間に仕上がっており、心地よい暮らしがイメージできる。
築100年を超える木造家屋は、かつて離れとして使用されていたため、生活に必要な水まわりなどを今回の改修でプラス。「家」としての機能を持たせた。明るく、開放的になったリビングスペースを見上げると、みごとな梁組みや小屋裏がダイレクトにのぞく。既存の構造を生かしたロフトは、遊び心あふれるスペース。新設の水まわりも家事動線がスムーズに整理されており、家で過ごす楽しみが広がりそうな住まいとなっている。
予想を心地よく裏切る広々とした玄関ホールや、光あふれるリビングダイニングなど、現代のニーズに応える快適な空間。1980年代に数多く建設された団地群は、今や老朽化が進み、間取りも現代のライフスタイルに合っていないなど、多くの問題を抱えている。コンクリート空間を生かし、室内に土間スペースを設けたこの改修案は、全国の団地・マンションの課題に投じるひとつの答えとなるだろう。
住空間と戸外をつなげる「アウトドアリビング」は人気のあるプランだが、完成後スペースをうまく活用できないケースもまま見られる。リビング前にスクリーンで囲むテラスを設置した改修案では、プライバシーを確保しつつ、内でも外でもない半戸外の楽しさがうまく提案されており、完成後の楽しい暮らしがイメージできる。光があふれる新たなこの「1部屋」が加わったことで、家での過ごし方の幅が広がるだろう。
総評
アパート1棟を丸ごとリノベーション。コマ切れになっていたアパート特有の間取りを、広々とした居住空間に改修した。室内にはかつての面影はなく、心地よい空気が漂う。古く、暗いイメージのあったアパートが、最新の設備を入れた水まわりや、住む人の動線に配慮したプラン、リフレッシュされた外観を備えた住まいに生まれ変わる様子はイメージするだけでも楽しく、まさにリノベーションの真骨頂ともいえるだろう。