規 模:木造2階建て
設計・施工:ひかり工務店
三世帯が同じ敷地内で快適に暮らすために
中庭をコの字型で囲むプランを実現。
中庭に向けた開口で室開放感を提供しながら
世帯間に程よい距離感を生み出し
三世帯をゆるやかにつなぐ住まいです。
以前は賃貸住宅で暮らしていましたが、高齢の母や息子夫婦との同居を見据え、新築での家づくりを検討し始めました。新たに購入したのは、駅に近くで利便性が高く、自然にも恵まれた土地。目の前には川が流れており、豊かな環境が魅力でした。
土地の購入が決まってから、インターネットを駆使して家づくりの依頼先を探しました。ハウスメーカーや工務店のサイトをいろいろとチェックして、数社に見積もりとラフプランの作成を依頼。「庭がある家」「バスケットボールができる体育館」などをリクエストしました。提案していただいたプランを見て、最後は家族一致で「ひかり工務店」に依頼を決めました。
「ひかり工務店」はHPのセンスもよく、「世界観が自分たちに合うかもしれない」と最初に感じた直感も決め手です。私たちの意向を汲みつつ、細やかな配慮が感じられるプランを提案してくれました。
「ひかり工務店」から提案されたのは、三世帯が適度な距離感を保ちつつ、同じ敷地で快適に暮らせる住まい。建物自体はひとつですが世帯ごとに玄関があり、キッチンや浴室なども独立しているので、各世帯がそれぞれのプライバシーの中で過ごせます。
三世帯をゆるやかにつなぐのが、中庭の存在。建物が中庭をコの字型に囲んでいるので、さりげない交流の場となっています。私たちの世帯のリビングは中庭に向けて大きな開口を設け、戸外を感じながら過ごせる空間に。窓の外には一段掘り下げた屋外リビングをつくり、ここでバーベキューをしたり、簡易プールを置いたりと、リビングの延長として活用しています。
開口部のサッシは「サーモスX」(LIXIL)を採用。フレームレスなデザインなので視界を遮らず、四季折々の自然が室内から楽しめます。断熱性も高く、熱損失も小さいので、大きな開口がある部屋でも快適に過ごせます。
キッチンも中庭に向かうように配置しており、カウンター前に立つと視界が自然に中庭へと広がります。アイランド型のオープンキッチンとダイニングテーブルを1列に配置して、片づけや配膳をしやすいレイアウトに。通路幅も広めに設け、大人数での作業もスムーズになりました。
玄関は壁一面にFIX窓を採用。中庭とダイレクトにつながり、庭木の美しさが楽しめます。出勤前に玄関の窓から庭の眺めを楽しむのが日課となりました。
大きな窓からの採光を利用して、パッシブデザインを採用しているのもこの家の特徴のひとつ。高断熱サッシを設置することで室温の極端な向上と熱損失を抑えています。西日の厳しい開口部には、ハニカムサーモスクリーンを採用。また中庭に落葉樹を植栽することで、日照を快適にコントロールしています。
当初からのリクエストである「バスケットボールができる体育館」は、スポーツ好きな家族が体を動かすためのプレイスペースとして希望していました。休日にはこの体育館に家族や仲間が集い、バスケットボールや卓球を楽しんでいます。
時には庭の屋外リビングで3世帯が集い、ゆっくりとくつろぐことも。各世帯の玄関は中庭に向かっているので、気軽に行き来できるようになり、会話の機会も増えました。住まいの随所にコミュニケーションの場を設けたことで、世帯同士の会話が自然に生まれています。
息子世帯の居住スペースは、玄関土間にしつらえられたオープン階段が2階リビングにつながっています。オールドアメリカンスタイルでまとめられた2階LDKは、開口も大きく、戸外との一体感が感じられるスペース。リビングと連続するデッキは、息子世帯のプライベート空間です。デッキに向けたリビングの窓を大きく開け、カーテンを開放したままリラックスして過ごせます。
外観については、「道路から見て威圧感のある佇まいは避けたい」と伝えていました。人通りが多い道に接道しているので、道路側の壁は高さ3mにして、外からの視線をシャットアウト。高い樹木を取り入れて、外観の印象をやわらげています。
正面から見える壁面や、擁壁のサイズをあえてバラバラにして、互い違いに配置。このずらしの効果で、軽やかな外観に仕上がりました。体育館の天井の高さは約6mありますが、半地下にすることで外から見た時の高さを抑え、圧迫感を解消。周辺環境とも違和感なくなじむ外観です。
元々雑木林が好きだったので、庭にもたくさんの樹木を植えてもらいました。季節ごとに花が咲き、一年じゅう楽しめる庭は、ここで過ごす時はもちろん、室内から眺めるのも心地よく、家族の生活をいやしています。
リビングの床は30cmほど下げて腰掛けられる仕様に。琉球畳の小上がりは寝転んだり、来客時のスペースとしても活用。
視線が抜ける先に大きな窓を配置。庭の植栽がより一層映しく見えます。上下に窓を設置することで、リビングが明るい空間になりました。
造作キッチンの上部の吊り棚には、グラス類や道具類を掛けて見せる収納に。床はフレンチパイン、壁の一部は黒いセメントタイルで仕上げています。
地表から一段掘り下げた屋外リビング。バーベキューをしたり、夏は簡易プールを置いて楽しんでいるそう。
アプローチの先には、親世帯の玄関、息子世帯のデッキを配置しています。さまざまな植物が、来訪者の目を楽しませてくれます。
玄関の土間は、キャンプ用品や自転車の手入れをするのに重宝。窓を開ければデッキと一体化し、空間の使い道が広がります。
※この記事は個人の感想に基づいて制作しております。
写真:①以外 岡松愛子