地域工務店として、理想的な総合力が発揮された住まい。コストを抑えつつ、性能と伝統的な技術力のバランスをうまくとっており、「ハウスメーカーではできない家づくり」を担う工務店の実力が感じられる。外皮性能値が非常に高く確保されており、太陽熱と太陽光発電を活用するなど、エコ性能と経済性にも配慮されている。屋根の意匠的な納まりも美しく、「王道の木造住宅」としての存在感が高く評価された。
外構やデザインのみならず、性能の向上にもまじめに取り組んでいると感じる。耐風等級2を取得している点も高評価。設備計画もしっかりしており、鹿児島という気候風土を真摯に捉えた家づくりに意気込みを感じる。また台風等級を取得したことで、壁量を増やす必要が生じているところをデザインでうまくまとめ、心地よい住まいに仕上げている。インテリアも好印象で、まさに後世代に住み継がれていく家となるだろう。
総評
「狭小地で性能のよい住宅」のニーズに応えた好例。充てん+外張りの断熱加工で外皮性能を向上させ、快適な住空間を提供している。また、都市部特有の隣地が迫る環境のなか、太陽光パネルを設置して、ZEHにもチャレンジした精神が評価された。トップライトの配置などにも工夫が見られ、暗くなりがちな玄関まわりも明るい雰囲気に。コンパクトな空間に、必要な機能と快適性がぎゅっと凝縮されている。