規 模:木造1階建て
設 計:ひとこと設計
施 工:ほしかわ工務店
5人家族の暮らしに合わせて
平屋の住まいをリフォーム。
開口部の位置やサイズを変えることで
外部の自然が室内に取り込まれ
借景を存分に楽しめる住まいとなりました。
この家は、元は両親がセカンドハウスとして購入しました。妊娠を機に両親から借りて住んでいましたが、自然に恵まれた環境にひかれ、両親から譲り受けることに。平屋の住み心地を気に入ってはいましたが、3人の子どもがいる生活と間取りが合わず、使っていない空間もあったため、リフォームすることを決めました。
当時は建て替えかリフォームかを迷っていましたが、「ほしかわ工務店」に「リフォームはいいですよ! この家ならすごくよい家になります」と勧められ、リフォームの依頼を決めました。設計に「ひとこと設計」も加わり、家づくりがスタート。地元工務店の「ほしかわ工務店」は景色を含めた周辺環境を理解している安心感がありました。産業廃棄物を減らすために、元の断熱材をできるだけ生かしたり、既存の石こうボードを残したまま断熱材を施工したりといった取り組みについても、共感しています。
「ほしかわ工務店」から提案されたのは、周辺環境を借景として取り込むプラン。敷地の東側にある遊歩道や、南東側に位置する山景を生かすために、LDKの開口の位置やサイズを変更することにしました。
南側の開口の位置は視線が抜けるように位置をずらし、約1間半まで間口をサイズアップ。木製サッシを入れて、新しくテラスを設けました。さらに、遊歩道に面した東向きの開口は窓の高さを下げ、眺めが楽しめる窓ベンチを設置。近隣を歩く人と視線が合わないように計画されているので、戸外の風や緑の様子を感じながら、リラックスして過ごせるLDKになりました。ダイニングの窓には空見障子を採用。障子で視線を遮りつつ、上に空いたスペースから景色と採光を取り込みます。
リフォーム前のキッチンはセミクローズドタイプでしたが、調理中に家族との距離感を感じていたため壁づけタイプを採用し、ダイニングとひとつの空間としてまとめました。キッチンとダイニングの間には、仕切り効果もあるカウンターを配置。カウンターまわりをぐるりと回れる行き止まりのないプランです。このカウンターは収納庫としてはもちろん、作業台や配膳台としても活躍してくれます。
独立した脱衣室がほしかったため、廊下の一角に洗面台を新設。トイレの設備は一新し、壁は珪藻土で仕上げました。キッチンから水まわり、寝室、和室、リビングへと回れる回遊動線も配置。家事の負担も軽減され、3人の子どもたちも楽しそうに行き来しています。
以前南西に位置していた子ども室はあまり使われておらず、リビングに2段ベッドを置いていました。リフォームで生まれた新しい子ども室は、手持ちの2段ベッドで空間をゆるやかに仕切り、個室をつくるプラン。一部を共有しつつ、程よく独立したスペースをつくることで、それぞれの居場所が生まれました。リビングにつくった畳コーナーやソファ、窓ベンチ、子ども室と、居場所を見つけながら自由に過ごしているようです。
LDKと子ども室をつなぐ廊下の暗さや圧迫感が気になっていたため、吹抜けにしてトップライトからの光をフルに活用。やわらかな光が差し込む眺めを見るのが楽しみなスペースとなりました。
以前は洋の印象が強かった外観を、和テイストに改修。既存の雨樋も整理して、すっきりとしたデザインとなり、自然の多い周囲の環境ともなじんでいます。外観は自然素材の外装材で仕上げ、傷んでいた屋根は補修材で塗り直しました。木製の玄関ドアや格子が、和の印象を強調しています。玄関スペースを広げ、建具を入れたことで風除室としての機能もプラス。断熱性も向上しました。玄関扉を開けると、間仕切り壁に設けた小窓越しに、やわらかな光が差し込みます。
自転車好きの夫の影響で、サイクリングが家族共通の趣味となっており、改修時に駐輪スペースも新設しました。また庭には小泉誠氏デザインの「舎庫」を離れとして設置。デッキとつながるこの離れは、夫が仕事をしたり、長男が勉強部屋として使ったりしています。
「ほしかわ工務店」は感覚が近く、どんな家にしたいのかをすぐ理解してもらえて、楽しく家づくりができました。DIYで珪藻土を塗る際、家族と一緒に子どもの同級生でもある社員のお子さんまで参加してくれたのも、地元工務店ならではの楽しい思い出です。
デザイナー・小泉誠氏の「9坪ハウス」にあこがれて、コンパクトなダイニングキッチンに。
遊歩道に向けた窓には空見障子を採用。障子で視線を遮りつつ、景色と採光を取り込めます。
緑が多く、視線が抜ける位置に窓の位置をずらし、ワイドサイズの木製サッシと交換。新たにデッキも設置しました。
改修前は廊下の暗さや圧迫感が気になっていたため、吹抜けにしてトップライトからの光をフルに活用。お気に入りのスペースに。
洗面台を廊下の一角に移動させ、既存の洗面室は独立した脱衣室に改修。
リビング前のデッキは離れにまでつながっています。コンパクトな離れは小泉誠氏デザインの「舎庫」を採用。
※この記事は個人の感想に基づいて制作しております。
写真:①以外 渡辺慎一