2019年4月19日
2020年4月改訂
まず、そもそも既に実施されている住宅ローン減税とはどんなのものなのかを理解しましょう。
これは簡単にいうと、住宅ローンを利用してマイホームを取得した人は、入居してから10年間、所得税や住民税の一部が戻ってくるという制度です。具体的には所得税は年末調整で(1年目だけ確定申告が必要)、住民税は翌年の住民税がその分減額されるという形で還元されます。
これが、消費税10%引き上げにともなう支援策で13年間に3年延長されました。この制度は、2021年12月末までに入居した人が対象でしたが、2021年度税制改正で2022年12月末までとなりました。
ただし、以下の契約期限が設定されていますので注意して下さい。
・注文住宅を新築する場合:2021年9月末まで契約
・分譲住宅・既存住宅を取得する場合、増改築等をする場合:2021年11月末の契約
一般の住宅の場合 | |||
居住 開始時期 |
2014年4月~ 2019年9月 |
2019年10月~ 2020年12月※1 |
2021年1月~ 2022年12月 |
---|---|---|---|
控除 開始時期 |
10年 | 13年※1 | 13年 |
借入金の 年末残高 |
4,000万円 以下の部分 |
4,000万円 以下の部分※1 |
4,000万円 以下の部分 |
控除率 | 1.0% | 1.0%※1 | 1.0% |
年間控除 限度額 |
40万円 | 40万円※1 | 40万円 |
認定住宅の場合 | |||
居住 開始時期 |
2014年4月~ 2019年9月 |
2019年10月~ 2020年12月※1 |
2021年1月~ 2022年12月 |
---|---|---|---|
控除 開始時期 |
10年 | 13年※1 | 13年 |
借入金の 年末残高 |
5,000万円 以下の部分 |
5,000万円 以下の部分※1 |
5,000万円 以下の部分 |
控除率 | 1.0% | 1.0%※1 | 1.0% |
年間控除 限度額 |
50万円 | 50万円※1 | 50万円 |
※1・・・11年目以降の3年間は、建物価格の2%を3等分した額と上記残高の1%のどちらか少ない金額が控除(=3年間で消費税増税分が最大で還元される)
いくらくらい税金が戻ってくるのかというと、毎年の年末の借入残高の1%、最大で年間40万円となっています。(認定住宅は年間最大50万円)
それが10年間続きますので、最大400万円となります。(認定住宅は最大500万円)
ただし、注意が必要なのは、払っている所得税・住民税以上の戻りはないということです。ローン残高の1%が30万円でも払っている所得税と住民が合計15万円だったとしたら、それ以上の還元メリットはありません。
この入居してから10年間続く住宅ローン控除が、13年に延長されましたが、単に3年延長されたわけではありません。
11年目から13年目の3年間は、建物価格の2%を3で割った数字が、各年の減税額の上限に加わります。
建物価格の2%ということですので、消費税増税(8%→10%)による負担増加分ということですね。この負担増分を最後の追加の3年間で還元してくれるということです。
たとえば、次の例(建物価格が3,000万円)の場合、消費税が8%から10%にあがることにより、60万円の負担増となりますが(3,000万円×2%)、減税期間が3年間延長したことにより、負担が相殺されます。
■借入額3,500万円、35年、金利1.5%、建物価格3,000万円の例
〈以前:10年間〉 | ||
年末のローン残高(万円) | 控除枠(残高の1%) | |
---|---|---|
1年目 | 3,423 | 34.2 |
2年目 | 3,345 | 33.4 |
3年目 | 3,266 | 32.6 |
4年目 | 3,186 | 31.8 |
5年目 | 3,105 | 31.0 |
6年目 | 3,022 | 30.2 |
7年目 | 2,938 | 29.3 |
8年目 | 2,853 | 28.5 |
9年目 | 2,767 | 27.6 |
10年目 | 2,679 | 26.7 |
合計 | 305.3 |
〈今回の支援策:13年間(3年延長)〉 | |||
年末のローン残高(万円) | 控除枠(残高の1%) | (建物価格の2%)÷3 | |
---|---|---|---|
1年目 | 3,423 | 34.2 | - |
2年目 | 3,345 | 33.4 | - |
3年目 | 3,266 | 32.6 | - |
4年目 | 3,186 | 31.8 | - |
5年目 | 3,105 | 31.0 | - |
6年目 | 3,022 | 30.2 | - |
7年目 | 2,938 | 29.3 | - |
8年目 | 2,853 | 28.5 | - |
9年目 | 2,767 | 27.6 | - |
10年目 | 2,679 | 26.7 | - |
11年目 | 2,590 | (25.9) | 20.0※1 |
12年目 | 2,500 | (25.0) | 20.0※1 |
13年目 | 2,408 | (24.0) | 20.0※1 |
合計 | 365.3 |
※1・・・金額が低い方を優先
■注意点■
①払う税金以上の金額は戻ってこない
②所得税で控除しきれなかった分(所得税のほうが控除枠より少ない)は、住民税から控除される(課税所得×7% 最大136,500円)
住宅ローンの金額が少ない人や10年後は仕事もリタイアしていて年収も少なく、所得税・住民税をあまり払っていない人など、条件次第では消費税負担増分がまるまる相殺されないケースもありますが、多くの方は、今回の3年延長により消費税の負担増分が解消されることになりそうです。
次回は、残りの支援策(すまい給付金が最大50万円に)について解説します。
※本サイトに掲載の内容は、平成31年3月末時点の情報に基づき作成し、令和3年4月に改訂しております。