【F様邸】広島県福山市
家族構成:母+夫婦+子ども3人
構造:木造
規模:2階建て
延床面積:116.42㎡
設計・施工:株式会社ろんでんアトリエ
F様にとって昔の家は思い出が詰まった場所。間取りを極力変えず、取り外せない通し柱や階段を空間にうまく溶け込ませることで、ほっと落ち着ける家を目指しました。
「今は亡き父の思い出を大切にしたい」というご家族の思いから始まったリフォーム計画は、間取りをなるべく変えず、家の面影を残すことを念頭にスタート。以前の家の間取りは、台所と居間、和室がそれぞれ分かれていて動線が悪く、物が散らかりがちなのが悩みでした。そこで壁を思い切って取り払い、広々とした空間に変更。南側に大きなサッシを取り付けて、快適に過ごせるLDK空間を目指しました。
さらに以前は壁やドアがあり、使いにくかった水回りは、キッチンから食卓、水回りへの動線をコンパクトにすることで、家事がスムーズにできるよう配慮。散らかりがちな食器や小物類は、キッチン背面に大容量の収納棚を設け、すっきり収まるよう工夫しました。
こうしたプランを進める一方で、LDの中央に構造的に動かすことができない階段がきてしまう課題が浮き彫りに。そこで、狭くて暗い印象だった階段を、透け感のあるスリット状の階段に掛け替え、その両わきにオープンな本棚を設けることで圧迫感を軽減。階段と本棚は家の中心的な存在を果たし、2階からの光や風が階下に抜ける、気持ちのよい空間づくりに貢献しています。
リフォームから約3年が経過した今も「快適性は当時と変わらない」と話す奥様。外出がままならないときも、巣ごもり生活はまったく苦にならなかったといいます。なかでも特に重宝したのはデッキスペース。「自粛中はリビングのソファやラグをデッキに出し、アウトドア用のテーブル、タープも設置して、ランチを取ることも。家の中では汚れるのでできないDIYスペースとしても便利に使いました」。階段わきの本棚も蔵書数が増え、〝おうち図書館〞として機能。子どもの友人に貸し出すほど好評です。
狭くて使いにくかったサニタリーは、勝手口をなくして増築し、スペースを拡張。入り口をキッチン横に移動して使い勝手が向上しました。水回りへのアクセスがしやすくなり、「リビングにいても入浴中の子どもたちの様子がわかるので安心」と奥様。
玄関は窓からの光をふんだんに取り入れ、明るさを重視してプランニング。靴をたっぷりしまえる収納棚も設置しました。収納棚の下にすき間を設けたので掃除もラクチンです。扉脇のFIX窓からは外の様子がうかがえ、防犯にも役立っています。
写真:①②施主撮影 以外 渡辺慎一