[世帯をつなぐ通り土間のある家]東京都世田谷区
LIXILメンバーズコンテスト
新築部門・大賞受賞作品
家族構成:夫婦+子供1人+曾祖母+祖母
構造:木造SE構法
規模:地上2階建て
延床面積:地上2階建て
設計・施工:株式会社テラジマアーキテクツ
築70年の住宅を4世代で住む2世帯住宅に建て替えるにあたり、お客様からリクエストされたのは既存の庭木をそのまま残すこと。配置計画や動線に配慮をこらしながら既存の家の部材を再利用し、家族全員にとって快適な居心地を感じられる家にまとめました。
築70年の木造住宅は昭和13年の新築以来、丁寧に手入れされてきた奥様のご実家でした。
しかし、断熱性が低いため、冬は寒さが厳しく、耐震性にも不安があったそうです。そこで、Yさんご一家と同居する2世帯住宅として建て替えることに。
今回の建て替えでは、ご家族の庭木への思いがプランニングに反映されました。敷地内に植えられた数百本にものぼる庭木は、それぞれ「雨宿りをした玄関先のモチノキ」「2階の自分の部屋から手を伸ばして食べた柿の木」「毎年実をとってシロップにした梅の木」というように、家族の記憶と結びついており、「なるべく庭を残したい」という要望があったそうです。
そこで、依頼を受けたテラジマアーキテクツでは、既存の庭を残すために、敷地内にあった母屋と離れの配置を生かすプランを提案。2棟の間にあった庭を、「前庭」と「通り土間」として、建物内に取り込み、1階を親世帯、2階に子世帯のフロアとして設計しました。「通り土間」は、各世帯の距離をほどよくとる一方、家族の交流の場、訪れた友人との語らいの場としても機能しています。
1階の親世帯では、庭に面した開口部を大きくとり、室内のどこにいても、思い出深い庭を眺められるようにしました。既存の母屋の床の間、建具などを再利用。古い梁や板ガラス等にも新たな役割を与えるなど、これまでの住まいへの思い入れを尊重しながら、新しい住まいとして再生する提案も加えています。
落ち着いた和の風情の親世帯とは対照的に、2階の子世帯は明るくモダンな印象に。間取りの中心はダイニングとキッチン。リビングはダイニングから一段高い位置に設け、スキップフロアとすることで空間に変化をつけています。2階のリビングには広いバルコニーを用意して開放感を取り込み、ダイニングはハイサイドライトから採光を図ることで、明るく快適な空間に。
古き良き思い出を巧みに残しながら、これからの新たな4世代の家族の暮らしを快適に営める住まいとなりました。