【セカンドリビングのあるLCCM住宅】岡山県岡山市
家族構成:夫婦
構造:木造2階建て在来工法
規模:2階建て
延床面積:150.7㎡
設計・施工:株式会社近藤建設興業
夫妻ふたりの日常は1階で完結。孫や親せきが訪れた時は2階のパブリックスペースを活用するので、お互い気がねなく過ごせます。
施主夫妻が希望したのは「仕事をリタイアした後、夫婦で快適に暮らせる暖かな家」。近くで暮らす娘さんの新居を訪ねた際ほっとする心地よさを感じ、この家を設計・施工した「近藤建設興業」に「終の棲家」を依頼しました。
ハイサイドライトから陽光がふり注ぐ住まいは、建てる時、暮らす時、解体する時の全ステージで収支のマイナスを目指すLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅です。エネルギー消費をプラスマイナス0にするZEHをさらに上回る高い性能を実現するため、プランニング前には現地で日射取得量や風向きを計測し、データを解析。外張り断熱やトリプルガラスなど環境に合わせた設備を取り入れることで、快適な室内温度を担保しました。建材は運搬による排出の少ない地産の木材を使用。太陽光パネルを搭載してエネルギーコストを削減しています。気密性はC値0.04。
夫妻の生活の場となる1階は、空気の循環を考慮した仕切りの少ないレイアウトを採用。寝室や脱衣室の壁には回転式の欄間を設け、自然な風の流れを生み出しています。「お互い気兼ねなく眠りたい」という奥様の希望で南北に振り分けた寝室は、間にウォークスルークロゼットを配置。2つの空間を完全に分断することなく、ゆるやかにつながりをもたせています。
キッチンや脱衣室は、動線に無駄のない回遊式。ゆったりとした通路幅やスライドドアを採用し、未来を見据えたバリアフリーな設計を意識しました。
2階は家族や来客が集うパブリックスペース。玄関ホールから直行できる階段を設置しているため、プライバシーを気にせず、2階へと上がれます。明るく開放的なセカンドリビングは、親戚が一堂に介してもゆとりを感じる広さ。室内のどこにも「寒い場所」がないため、それぞれが思い思いの場所で過ごしながら、穏やかな家族の時間を満喫しています。
写真:杉野圭