【庇護の家(常陸太田の平屋)】茨城県常陸太田市
家族構成:夫婦+子ども2人
構造:木造平屋建て在来工法
規模:平屋
延床面積:94㎡
設計・施工:サンハウス
東西に広がる里山風景を効果的に取り込むダイニングキッチンを中心に、3.6mのグリッドを用いてフロアを雁行させた、表情豊かな平屋です。
施主夫妻は、第二子を授かった事を機に実家の畑を宅地転用し、家を建てました。敷地があるのは周囲を畑に囲まれ、遠くに雑木林や阿武隈山地の裾野が見晴らせるエリア。黒い焼スギ板で仕上げた平屋の住まいは、その風景の中に溶け込みながらも存在感を主張しています。ゆとりある広さと角地という敷地条件を生かし、車寄せも配置しました。
家づくりで課題になったのは、南側隣地に乱立する太陽光発電のパネル群。そこであえて南側は閉じ、景色が良好な東西に向けて建物を開きました。2間グリッドをベースにした耐震性の高い構造は、地震の多いこの地域での暮らしに安心感を提供。空間が単調になりがちな平屋ですが、部屋を雁行させる配置によって、多様な居場所と奥行をつくり出しました。
暮らしのメイン空間であるダイニングキッチンは、庭から1.8m程セットバック。後退させたスペースにテラスをつくりました。大きなFIX窓で視線を外部へ誘いつつ、小屋裏までを取り込んだ吹抜けを配置。縦横に広がりをもたらすことで、約8畳のスペースが広く感じられます。
リビングは庭側に張り出すように配置。ダイニングから距離を取りつつダウンフロアとし、造作ソファや畳の上でごろ寝しながらリラックスできる空間としました。庭を望むピクチャーウィンドウには意匠性の高い格子戸を設け、開放感と安全性を両立させています。
ご主人の趣味のイモリ飼育をする場所は廊下に設置。世話がラクになるよう、近くに洗面台を兼ねたシンクを備えました。暮らしを楽しむ要素が増え、家の過ごし方も多様に広がります。
「東向きのダイニングは、朝食時に朝日が昇るのが見えて気持ちがいいです」とご主人。「キッチンの窓から雑木林に沈む夕日がきれいに見えます」と奥様。里山に暮らす大切さを、日々の暮らしで実感させてくれる住まいです。
写真:①②アドブレイン 塚本浩史 ①②以外 渡辺慎一